なんとなく分かる!法定控除の考え方
前回の記事で心の赴くままに「税金、社会保険たかッ!!」と嘆いた訳ですけども、正直なところそれがどういう仕組みで計算されているかとか、私全然理解できていなかったんですよね。
どうなっとんのじゃ・・・と憤る度にネットや本で調べてみるんですけど、馬鹿な私には分からない。
ということで、自分なりになんとな~くまとめてみた法定控除の考え方について備忘録的に記事にします。
あくまで私が私なりに調べてなんとな~くこういうものか、と考えたものなので、正確な情報を知りたい場合はもっとちゃんとした記事なり本なりを読んでみてください。
法定控除とは
社員の賃金から会社が法律上天引きをすることが可能である金額のことです。
給与明細には会社から支払われるお給料と、そこからさらに上記の控除額が発生しているため、実際に身元に入るお金=手取り給与は、およそ総支給額の8割になるそうです。(その計算だと総支給額24万に対して手取りは19万になるはずなのに、やっぱり引かれすぎ・・・)
控除額には様々な種類があり、以下の通り一つずつ説明していきますね。
ちなみに、税金のほか各種保険料をまとめて社会保険料と言ったりします。国民健康保険・国民年金とは別物ですのでご注意ください。
健康保険料
病気になったり怪我をしたとき、病院の窓口で保険証を提示しますよね。アレです。(雑)
日本には国民皆保険制度があり、国民は全員この制度に加入しなければなりません。保険料として個人と会社・国が半分ずつお金を出し合うことで、個人は高額な医療費を払わなくて済む、というもの。
保険料の金額は【標準報酬月額×保険料率】から計算されます。
また、月々の給与だけではなく、賞与も控除対象になります。その際は【標準賞与額×保険料率】が適用されます。
標準報酬月額について
標準報酬月額とは、月額給与額を50ランクごとに区切ったもので、都道府県別に異なります。
↓こちらで標準報酬月額一覧が確認できます。
例えば総支給額25万、東京都で照らし合わせると、等級19で標準報酬月額は24万円になります。1万円総支給額が増えれば等級20で、標準報酬月額は26万に。
標準報酬月額は毎月の総支給額に対応するものではなく、毎年4・5・6月の3ヶ月分の給与の平均額で決定され、その金額が適応されるのはその年の9月~翌年8月までとなり1年ごとに見直されるわけですね。※著しく総支給額が変動する場合、保険組合などの判断で標準報酬額を見直すことがあります。
よく会社で4~6月は残業するなと言われていた意味が分かりました。。。
保険料率について
保険料率は、加入する保険組合により異なります。会社の保険組合に入っているならそちらで、協会けんぽに加入している場合は都道府県別に料率を確認できますが、2017年時点でだいたい9~10%になっています。(保険料率は毎年3月改定されているようです。)
協会けんぽを参考にすると、東京都の保険料率は9.91%
標準報酬月額=24万の場合、健康保険料は24×9.91%=23,784円。
この半分を会社が負担してくれますから、控除額は11,892円になります。
ちなみに
国民健康保険の場合は計算方法が異なり、世帯全員を含めての前年1月~12月の総所得額(手取り)を基準として計算されます。
計算方法が複雑なため、ここでは省略。こちらのサイトが参考になります。
国保の計算方法 | 国民健康保険料の計算、国民健康保険と健康保険任意継続との比較など!
また、社会保険に加入している(会社に属している)状態から無職になると、自動的に国民健康保険に加入していることになりますが、それから転職などで社会保険に加入する場合、手続きをしないと国民健康保険から脱退できませんので、二重で保険料を負担しなければならない可能性があります!
介護保険料
40歳以上になると給与控除が発生するもの。年齢上限はなく、死ぬまで払い続けなければならない保険料です。
高齢により発症する様々な症状に対する保険だそう。
介護保険の被保険者は第二被保険者=40歳~64歳、第一被保険者=65歳~の2種類に分けられ計算方法なども変わりますが、ここでは第二被保険者のみについてまとめます。
こちらも算出方法は【標準報酬月額×介護保険料率】です。
介護保険料率は各健康保険組合(会社)によって異なり、年度により見直されることがあります。また、負担割合は会社:個人=1:1で折半されます。
健康保険料と考え方は同じですね。
<計算例>※介護保険料率が4.5%の場合
介護保険料は標準報酬月額24万×介護保険料率4.5%=10,800円。
個人の負担はこの半額になるので、控除額は5,400円になります。
ちなみに
協会けんぽに加入している場合は計算方法が異なります!
協会けんぽの介護保険料は1.65%(2017年現在)であり、その計算方法は、
(標準報酬月額+標準賞与額)×保険料率 です。
標準報酬額24万、標準賞与額42万の場合、介護保険料は10,890円。
個人負担は5,445円になります。
厚生年金保険料
健康保険と同時に加入する年金制度の一つです。
年金制度は2段階になっており、20歳以上の国民は全員『国民年金』=基礎年金に入っていますが、企業に属する人は厚生年金に加入することで、年金を上乗せとしてもらえるという仕組み。つまり、月々多めに年金を払っているだけ、企業に勤めている方がもらえる年金が多いんですね。
国民年金は誰であっても一律金額を月度納めることになりますが、厚生年金は収入や所得によって変動します。考え方は健康保険や介護保険料と同じ、標準報酬額を参考にしています。
ただし、保険料率は各保険組合によるものではなく、日本年金機構によって一律で定めれられています。2017年現在では18.3%。うち半分は会社が負担してくれます。
標準報酬月額が24万だと、厚生年金保険料は24万×18.3%=43,920円。
つまり給与からの控除額は21,960円です。うーん、やっぱり高い。。。
国民年金保険料は?
給与明細には厚生年金の控除しか記載されておらず、国民年金なんて支払ってないよ?と疑問に思ったので調べてみました。
厚生年金に加入している場合、国民年金は厚生年金に包括されて控除されているそうです!
国民年金は一律16,490円(2017年度)で、厚生年金よりは低い金額ですが、もらえる年金は国民年金分だけ。しかも会社からの補助はないから全額自己負担。
加入するなら厚生年金のほうがお得ですね。
ちなみに、国民年金⇔厚生年金は会社側での切り替え手続きは会社側でしてくれるので、特に個人で手続きは必要ないそうです。
厚生年金に加入しているからといって国民年金から脱退した訳ではなく、包括支払いしているということ。ネットにはどちらかひとつにしか加入していないという情報もありますが、こちらが正しいそうです。
雇用保険料
労働者が失業したときの就職支援や生活補助にあてるための保険料。失業給付金とか再就職手当の出どころですね。
雇用保険料の算出方法は、上記3つの保険料とは異なり、【毎月の給与総額×雇用保険料率】により計算されます。
雇用保険料率は毎年4月に見直しがされ、2017年現在では0.9%(一般事業)
保険料率は事業種類により異なり、建設・農林水産・清酒製造業以外は同じくくりです。また、企業と個人の負担割合は半々ではなく、一般企業の場合は会社:個人=0.6%:0.3%となっています。
給与の総支給額が24万円の場合、雇用保険料は24万×0.9%=2,160円。
個人負担の控除額は24万×0.3%=720円となります。
たしかに毎月雇用保険は少ないな~。
所得税
はいきましたベストオブめんどくさいやつ。
毎月の総給与額に応じて控除される税金です。所得税にも色々種類があるそうなんですが、ここでは給与所得にかかる所得税を計算します。
厚生年金のように毎月の総支給額に料率を掛けるのではなく、源泉徴収制度により1年間の【課税所得】に所得税率をかけて算出します。
毎月ではなく1年間(当年1月~12月まで)の総支給額、つまり年収を参考に計算されます。
でも、今年の年収なんて、1年が始まった時点では分かりませんよね。そのため、毎月の所得税控除額は当年年収の暫定額から計算され、年末にその差額が調整されます。
これが年末調整(あるいは確定申告)だそうです。つまり正確な所得税額は年末にならないと分からないんですね。
年末調整(確定申告)では配偶者控除・生命保険控除なども適用されるので、最終的に払いすぎた所得税が戻ってくることが良くあります。
年収の暫定額、というのは、例えば1月時点の総支給額が20万円で、これが12ヶ月続いたら年収は240万・・・という感じですね。翌月の総支給額が21万なら年収252万。総支給額はその月に応じて変わってくるので、所得税控除額も月々異なるのです。
ただこれだけでは終わらないのが所得税。計算の過程でももろもろ調整が入っていきます。所得税の計算式は以下の通り。
【所得税額= 課税所得(年収-給与所得控除-所得控除)× 税率 - 税額控除】
ね、わけわかんないでしょ。年収なんか前年度を参考に暫定でしかないし。ボーナス含まれるし。
面倒なので、月次給与における所得税の計算方法をまとめました。あくまで暫定額なので、正確な所得税額を計算したい場合は以下URLを参考にしてみてください。
会社員の給与にかかる所得税の計算方法 [税金] All About
月次給与における所得税の計算方法
月次給与における所得税は、以下のようにな計算式から【課税対象額】を算出し、【源泉徴収税額表】にあてはめて求めることができます。
【課税対象額=総支給額-非課税収入-社会保険料控除】
- 非課税収入
総支給額24万円で、うち2万円が交通費である場合、非課税となるのは交通費の2万円です。交通費(通勤手当)や慶弔見舞金などは、会社の福利厚生費用にあたるので、所得税算出の際は非課税となります。
◆給与収入額=24万円-2万円=22万円
- 社会保険控除額
社会保険控除額とはその名の通り、上記で計算した健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料にあたります。
◆社会保険控除額=11,892円+5,400円+21,960円+720円=39,972円
- 源泉徴収税額表より
ここまでの計算で課税対象額は22万-39,970円=180,030円
源泉徴収税額表は、扶養家族の人数と課税対象額を照らし合わせた早見表になっており、国税庁のHPから確認することができます。
こちらを参照すると、扶養人数0人の場合月次所得税額は4,050円
給与天引きされる所得税額は4,050円になります。
前述の通り、あくまでこの金額は暫定で、年末に正確な所得税額が計算されますので、ご注意ください。
住民税
住民税は前年度の1月1日に在籍していた自治体での、12月31日までの12ヶ月分の都道府県民税・市町村民税を合わせたもののことです。1年間の総額を12回で割った金額が毎月控除されています。
つまり1月2日に引っ越ししたとしても、課税されるのは前に住んでいたところに対して。しかも前年度の税金が今年度の5月度から徴収されるというタイムラグがあります。
よく新卒の子が2年目から手取りが減るというのは、このためなんですね。
転職した場合も1年目は特別徴収(会社で天引きされる)ではなく普通徴収(直接自治体に支払う)方式になるかと思います。
住民税は前年度の源泉徴収票を参考に計算できます。
【住民税=都道府県民税+市町村民税-調整控除額】
また、都道府県民税・市町村民税はそれぞれ均等割・所得割というものを合計した金額になっています。
これらは一律で決まっており、均等割は都道府県で1,000円、市町村で3,000円。所得割は都道府県で4%、市町村で6%の税率となっています。
所得割額の算出方法
必要となるのは、課税所得額(年収-給与所得控除-所得控除)。
課税所得額に対してそれぞれ都道府県民税4%、市町村民税率6%を掛けて算出します。
課税所得額が150万円とすると、それぞれの税額は、
都道府県民所得割額=150万×4%=60,000円
市町村民所得割額=150万×6%=90,000円
となります。
均等割額の算出方法
これはそれぞれ3,000円と1,000円で定額なので、
都道府県民税額=60,000+1,000円=61,000円
市町村民税額=90,000+3,000=93,000円
調整税額
上記で計算した税金の合計から、調整控除額を引いた金額が正確な住民税となります。
調整控除額は課税所得額が200万円以下と、200万円より多い場合で計算方法が異なりますが、この辺は難しいので省略。
調整控除額が15,000円だとすると、住民税の金額は以下の通りです。
住民税額=61,000+93,000-15,000円=139,000円
毎月控除される住民税は139,000÷12=11,583円となります。
法定控除額の総額
以上の計算により、給与の総支給額が24万円の場合、法定控除額はおよそ55,603円(40歳未満であれば50,203円)になります。
つまり手取りは184,395円です。大体総支給額の7~8割になりました。
まとめ
ポイントは以下の通りです。
- 健康保険・介護保険・厚生年金は標準報酬額をベースに算出され、毎月定額である。
- 毎月変動する控除額は、所得税・厚生年金のみ。
- 標準報酬額は当年の4~6月の給与の平均額で、適応されるのは9月から。
- 住民税は前年度1月1日に住んでいた自治体へ当年の5月から支払いする。
- 国民健康保険・国民年金と社会保険は計算方法が異なる。
- 所得税は年収によって算出されるので、毎月控除されるのは暫定額。
はあ、まとめてみたらすごい時間かかった。。。
改めて調べてみたけど本当に難しいし、欲しい情報がネットになかったり、言ってることが違ったりであまり自信がありませんが、なんとな~く法定控除額について理解できたと思います。
間違っていたらご指摘お願いします!
以上、おわり。
ランキングに参加しています。
よろしくお願いします。